千葉県館山市にある『株式会社さかなドリーム』は、日本に生息する4000種以上の魚から厳選した魚種を掛け合わせ、より美味しくより安定した養殖ができる新品種の開発を行っています。
代表取締役CEO 細谷 俊一郎
「農産物や畜産物は人類は1万年近く品種改良をおこなっている。その一方で、魚はほとんど手付かずな状態で歴史としては100年未満程度」
「今後、水産物を安定的・効率的に供給していくには品種改良が必要になると考えている」
新品種の開発に取り組む背景には、世界的な人口増加や海洋環境の変化があるそうです。
代表取締役CEO 細谷 俊一郎
「世界人口が100億人を超えると、魚の消費量が増えることがあっても減ることはないと思うので、魚を安定的に供給する手段を確立していくことが大事」
「現在、日本の海面水温が年々上昇し、この100年で約1.28℃上昇していると気象庁から発表され、魚も高水温を嫌がり北の方へ逃げていく状況です」
「魚の養殖に関しては同じ場所で魚を飼育することになるので、高水温でも逃げられない。そのため、高水温でも耐えられるような品種を開発していくことも取り組んでいかなければならない」
カイワリとマアジ掛け合わせ、今年7月に養殖がはじめた新品種の魚について―
代表取締役CEO 細谷 俊一郎
「我々創業の地、館山市。その館山湾でとれる魚の中で一番美味しいと思っているのがアジ科の希少魚である”カイワリ”」
「カイワリは飼育することが難しい魚で、飼育が簡単なマアジとの掛け合わせによって美味しくて飼いやすい魚として養殖ができる」
新品種の魚はしっかりと脂がのっていながらもしつこくなく、万人受けする味だそうです。
また、カイワリとマアジを選んだ理由にはもうひとつ大きな理由があります。
代表取締役CEO 細谷 俊一郎
「この新品種は生まれながらにして生殖能力を持たない”不妊の魚”であることが最大の理由」
「品種改良という取り組みは成長が早い・病気に強いなど、ある種の強い個体をつくっていくということになるが、もし万が一、養殖いけすから逃げ出し無尽蔵に海で増えてしまうと、野生の生体系を乱してしまうことになりかねない」
「そのため高度な品種改良と生体能力を持たないことを両立することで自然の生態系を保全していかなければならない」
育てやすさ、美味しさ、生態系の保全。
様々なメリットを兼ね備えた新品種の魚、近い将来食卓に並ぶ日を夢見ています。
代表取締役CEO 細谷 俊一郎
「2025年4月以降に販売を予定している。主な販売先として首都県の飲食店や小売店を考えている」
「寿司や刺身など日本ならではの楽しみ方で皆様にご提供できるよう準備をしている」