私たちの食文化にかかせない海の幸”海苔”
約200年の歴史がある千葉の海苔養殖は、海洋環境の変化による影響をうけています。
千葉県内で海苔養殖が盛んにおこなわれている富津市。海苔漁師歴50年という大ベテランの新富津漁業協同組合 代表理事組合長の小泉敏さんにお話を伺いました。
新富津漁業協同組合 代表理事組合長 小泉敏さん
「地球温暖化による海水温の上昇が原因のひとつで漁期が短くなった。海水温が下がるのが遅く、上がるのが早い。秋になるのが遅く、春になるのが早い。この影響で海苔の生産量が減った」
さらに問題となっているのが、魚が海苔を食べてしまう食害。こちらにも海水温の上昇が影響しています。
新富津漁業協同組合 代表理事組合長 小泉敏さん
「冬場の海水温が上がり、クロダイやメジナ、アイゴなどの魚が深い所へ行かなくなった。特に7、8年前から急速に食害がひどくなり、いまはこの対策をすることが一番きつい仕事」
海の環境が変わったことで、海苔の生産量と生産コストの採算がとれず、海苔漁師の数は10年で3分の1に減少しました。
そこで新たにはじめたのが”牡蠣”の養殖。今では千葉県のブランド水産物に認められ、新名物として出荷しています。小泉さんは新たな産業を取り入れることで、海苔養殖という文化を守り、次の世代にバトンを渡したいと言います。
新富津漁業協同組合 代表理事組合長 小泉敏さん
「”江戸前の海苔を後世に残す” それが我々の使命だと思う」
「海苔が不作の時には牡蠣養殖に力を入れて飯の種にするなど、色々な産業を取り入れ、安定した収入になれば海苔漁師を続けてくれると思う。そして次の世代に海苔の産業を継いでもらいたい」