伊勢えびや真蛸で有名な、千葉県いすみ市で豊漁となっているのがフグの王様「トラフグ」です。
フグの本場といえば山口県の下関ですが、今、いすみ市で取れる「フグ」により外房のまちで”ある変化”がおこっています。
いすみ市にある大原漁港で次々に水揚げされているのが天然の「トラフグ」です。伊勢えびなどで有名ないすみ市で数年前から、トラフグの漁獲量が急増しています。

陸栄丸 滝口 守弘 船長
「2016年ぐらいから徐々に釣れはじめてきた。当時から比べると今はきっと10倍近くになっている」

千葉県全体でトラフグの漁獲量をグラフでみてみると、2016年頃から段々と増加していることがわかります。そして、2024年には過去最高となる52.2トンを記録し、その内の約70%を夷隅地域が占めています。
こうした中、県では2025年にいすみ市大原産の「トラフグ」を”千葉県ブランド水産物”に認定しました。
陸栄丸 滝口 守弘 船長
「放流が一番大きいのではないかと思う。それがちゃんと実になって外房一帯に回ってくるようになった」
県では2015年から稚魚の放流を行っていて、これによる効果が一番大きいと話します。
また、県水産総合センターは2025年春頃まで続いていた黒潮の大蛇行により、千葉県近海の海水温が上昇したことでトラフグの生息に適した環境になっていったのではないかと考察しています。

地元に店を構えて約40年の「割烹かねなか」は昨年、トラフグを使った新たなメニューを生み出しました。

割烹かねなか 中村 一俊 店主
「いま一番トラフグに期待している」
「町おこしみたいな部分がすごくあって、何かメニューとして出せるかなと考え昨年から”究極のいすみ天然トラフグ定食”というメニューを始めた」
香ばしく焼き上げた”焼フグ”に、サッと出汁に通す”しゃぶしゃぶ”、さらに”釜めし”まで付いたトラフグを余すことなく堪能できるコースメニューです。

割烹かねなか 中村 一俊 店主
「外海で波が強い所で泳いでいるので、身がしっかり引き締まっている。筋肉質な部分が特徴として第1位」
「刺身などにすると、すごく身の締まりや歯ごたえなど抜群にいいかなと感じる」
トラフグの質は、本場下関にも引けを取らないといいます。
割烹かねなかの店主 中村さんはトラフグの課題について「認知度が広まっていない」といいます。
実際にまちの人々に取材すると「山口県の下関や福岡で獲れる。(千葉で取れるイメージ)あまりない。知らない」「千葉県で取れることを知らなかった。フグが取れる印象はない」などといった声がありました。
また、県フグ連盟の委員でもある陸栄丸の船長 滝口さんが指摘するのは、”処理師不足”です。

陸栄丸 滝口 守弘 船長
「調理師の免許は持っていても、処理師の免許を持っている人は少ないので処理師の取得者を増やすことが課題」
「千葉県内にフグ処理場がまるっきりないので、せめて外房地域だけでも1、2カ所できてくれれば(処理師の免許取得者数も)違うのではないかなと思う」
こうした中、千葉県ではフグ処理師の試験を受ける人を対象とした講習会を実施し、育成に向けて動き出しているほか、認知度向上のためフグ専用ホームページを開設するなど情報発信をしています。

高級食材「トラフグ」で、まちのブランド力向上へ大きな期待を寄せています。
割烹かねなか 中村 一俊 店主
「いすみは観光が少し弱く、お客さんが年々年々、少なくなっている。トラフグは食材が強いので、そこをどんどん推してお客さんに来てもらえるのように頑張っていきたい」
陸栄丸 滝口 守弘 船長
「孫の代まで、という形で残していければ漁師だってみんな助かるだろうから、持続できれば一番良いなと思う」
「”西の下関・東の大原”みたいになれば一番良いかなと考えている」
