1月25日のNEWSチバ930にて、「富津の海苔を守る対策」について特集しました。漁師の方によりますと、海苔の不作の要因のひとつである高い海水温が現在は下がる傾向にあるとのことで、少しだけ明るい兆しも見えているそうです。千葉が誇る海産物、海苔。今シーズンも11月下旬から競りが行われ、総数およそ2000万枚の海苔が関東を中心に出回っていますが、実はこの数は平年のおよそ4割です。
漁師
「去年・一昨年の不作を思えば採れてる方だと思うんですけど、それでもまだまだ色々な準備、大変な事があって本調子ではないですね。」
こう語るのは、海苔漁師9年目の鈴木(すずき)和正(かずまさ)さん。
ここ県内屈指の海苔産地、富津でいま漁師を悩ませているのが、ここ数年続く不作です。原因は海水温の上昇、潮流の変化など色々と考えられていますが、調査により、その一つが特定されました。
研究
「クロダイによる食害というのがわかってきまして、生産者の方が漁場からいなくなった頃を見計らって魚が集まってきて海苔を食べてしまう。」
そこで新富津漁協では魚からの被害を食い止めようと鈴木さんたち若手メンバーが中心となって、昨シーズンから防魚(ぼうぎょ)ネットの設置という対策をはじめました。
漁師
「魚が下から捕食しにくるので、その魚が嫌がるようなものを海苔網にぶらさげてみたりとか、海苔網の下をネットで囲ってみたりとか、色々対策をしています。」
組合
「去年(昨シーズン)、防御ネットで若い人達がね、試験的にやってみたところ効果が出たので今年は組合全体で、防御ネットを海に設置するような形をとったところ、本当に今年はその効果が出ている訳ですよね。」
海苔の収穫は早朝から行われます。船で海苔網の下に入り込み、摘み取っていくため、収穫の前後に防魚ネットの付け外しが必要となります。この付け外しが思っている以上に労力を使うそうで・・・。
組合
「朝、暗いうちに行って、あげて、それで摘採した後はまたこれ設置するんでこの作業がすごい重労働で、年配の方なんかやっぱり大変な作業ですよね。」
漁師
「外してつけて外してつけてです。作業を毎日毎日やる事がもう、口で言うより肉体的にすごい堪えていますね。」
富津の漁師たちには、多くの苦労をしてでも守りたい味があります。
江戸時代後期から始まった千葉県の海苔養殖。現在も東京湾沿いで生産されていて、色よし、味よし、香りよしの「江戸前海苔」として広く愛されています。
組合
「先祖の代からね、何百年江戸時代から続いていますけどもね、この海苔の漁、やっぱり守っていかなくてはいけないというやっぱり我々も使命感ありますし、次の世代に伝えていかないとならないと、そういう思いで今頑張っている所です。」
漁師
「大変でもこれをやっとけば海苔をとれるんで。これがないとやっぱり今度は海苔を採れなくなってしまうので、そうすると今度外してつけてという苦労すら味わえなくなっちゃうので。僕たちはやっぱり海苔を採ってなんぼの生活なので。」
「毎年毎年、試行錯誤しながらやらなければいけないので、もう、苦労は尽きないですけど、美味しい海苔を作るために頑張ってやっています。」