鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)は、7月6日、施設の目の前に広がる東条海岸で、今年初めて「アカウミガメの産卵」を確認したと発表しました。
鴨川シーワールドによりますと、日本はアカウミガメの主要な産卵場所で、なかでも千葉県は、アカウミガメが毎年産卵にやってくる“北限域”にあたります。
千葉県の海岸では、毎年6月~8月にかけてアカウミガメの産卵が確認されているため、毎朝鴨川シーワールドの担当係員が海岸の調査を行っていたところ、今月6日、東条海岸で、アカウミガメが産卵のために砂浜に上陸した痕跡を確認したということです。
その後、改めて調査を行ったところ、深さ約30~50センチの砂の中にアカウミガメの卵141個が確認されました。
アカウミガメの産卵数は、1回につき平均80個~140個で、卵は、ピンポン玉のような形をしているのが特徴。
現在は、卵の安全を考え、卵を確認した場所から少し離れた防波堤の近くへ移動していて、周辺に保護柵を立てて、卵を見守っています。
なお、今後、台風などで卵に危険があると判断した場合は、鴨川シーワールド内「ウミガメの浜」へ保護する可能性もあるということです。
約2か月後に砂の中でふ化し、ふ化後、数日から1週間かけて地表に出て、海に旅立つアカウミガメ。
鴨川シ―ワールドは、「元気に育って、無事に海にかえってほしい」と話しています。
アカウミガメが海から砂浜へあがるときや帰るとき、“ヒレ”を使って、一生懸命歩きます。
しかし、うまく歩けない場合もあるんです。
それは、砂浜に“ゴミ”がある時。ヒレに引っかかってしまうといいます。
また、砂浜に落ちたゴミ(プラスチックやビニール等)が、海へ流れると、ウミガメをはじめとした海の生き物たちが、クラゲなどのエサと間違えて食べて、死んでしまうことも。
そのため、鴨川シ―ワールドでは、定期的にゴミ拾いをしているということですが、今後、海岸に訪れる人たちに対しても、「浜にゴミを捨てないことはもちろん、見つけた場合は拾ってもらえると嬉しい」、「ウミガメが移動しやすいような環境をつくっていければ」と呼びかけています。
環境省の調べでは、海洋ごみの65%以上を「プラスチックごみ」が占めています。しかも、素材の性質上、滞留期間が長く、中には400年以上海の中を漂うものもあるといわれています。
また、海に流出するプラスチックごみのうち、2万~6万トンが日本から発生したものだと推計されていて、このままでは2050年の海は、“魚よりもごみの量が多くなる”と言われるほど、問題は深刻化しているということです。
海のごみを減らすためにも、海の生き物たちがのびのびと成長する環境をつくるためにも、私たち、ひとり一人の意識や行動が大切となります。