千葉県千葉市中央区にある千葉県立中央博物館は、房総の海がもたらす”うみの幸”に関する特別展を開催しています。夏休みにピッタリの親子連れで楽しめる展覧会を取材しました。
千葉県立中央博物館は、千葉県の海の魅力を探り、国内外に発信することを重点事業の一つとして掲げています。
2025年7月12日(土)~9月23日(火・祝)まで開催している特別展『房総うみの幸 大百科 ―千葉の豊かな海と食文化―』の概要を、博物館の上席研究員 後藤亮さんにお聞きしました。
千葉県は3方を海に囲まれイセエビやマダイなど、さまざまな「うみの幸」に恵まれています。この特別展では千葉の海を「東京内湾」「安房・夷隅」「九十九里」「銚子」の4つの地域に分けて紹介しています。
また、代表的な「うみの幸」の紹介だけでなく、漁具や郷土料理など学術・水産・食文化についても紹介しています。
この特別展をみると、房総半島をぐるりと巡った形でどういったものがあるのかがわかります。
会場はフリー動線を導入していて、特に順路はありません。第1企画展示室の中央のテーブルにある8問のクイズに挑戦してからの見学もおすすめです。
波が穏やかな浦安から富津岬にかけての東京内湾は、バラエティに富んだ食材の宝庫。
文字通り江戸の前に広がる海で獲れた海産物を使った料理が「江戸前寿司」です。クルマエビ、コダイ、コハダ、サバなどお馴染みのネタだけではなく、白魚やミル貝、アユなども握っていました。全体的に現代の握り寿司よりも一つ一つが大きかったようです。
次に紹介するのは「深川めし」。最近はアサリの炊き込みご飯というイメージが増えていますが、古くはバカガイとネギを煮込んだ汁物をご飯にかけるのが主流でした。漁師のまかない料理がルーツという説が有力です。
黒潮の影響と広がる岩礁によってイセエビやアワビ、キンメダイなど多様な海産物が獲れる安房・夷隅。
千葉県は全国有数のイセエビの産地で、地元では小ぶりなものやヒゲが折れてしまったものなど規格外のイセエビを味噌汁の具にします。
そして、この地域には全国でも数少ない捕鯨基地があります。ツチクジラ肉を垂らして干したことが名前の由来とされる郷土料理が「くじらのたれ」です。
展示では他にもアワビや鰹節、タコ飯などを紹介しています。
沖合を流れる黒潮と親潮が好漁場を作りだしている九十九里。
「セグロイワシの胡麻漬け」のほか、「なめろう」や「さんが焼き」などマイワシを使った郷土料理が有名です。
また、砂浜には豊富な貝類も生息していて、チョウセンハマグリ、ウバガイ、サトウガイのほか千葉県人にはなじみ深い”ながらみ”も九十九里の名物として有名です。
銚子は日本有数の水揚げ量を誇る、漁港と醤油の街です。
新鮮なサバと醤油を使った現代の銚子の味が「サバの黒アヒージョ」。アヒージョはオリーブオイルとニンニクで煮込んだスペイン料理ですが、黒アヒージョは隠し味に千葉県ならではの醤油を加えます。
そして正月や祝い事などの席で食べる銚子の伝統的な郷土料理が「カイソウ」です。コトジツノマタという海藻を煮てから型に流し固めた料理で”カイソウの食習俗”として県の登録無形民俗文化財にもなっています。
第2企画展示室の「JOMON 房総うみの幸」では縄文時代の貝塚の貝にスポットを当て、大昔から豊かだった房総の海について紹介しています。
展示会では「うみの幸」と食文化を通して、「海の生き物」と「人と海のかかわり」を紹介しています。
この他にも、海の生き物に色をぬってスクリーンに泳がせる「デジタルおえかき」も人気です。
会期中は体験イベントや講演会、グルメフェスなどたくさんのプログラムが用意されていますので、ぜひご参加ください。
また、ミュージアムショップでは千葉ブランド水産物認定品を取り扱っています。
千葉の海の「おいしい」がまるわかりの展示会、ぜひご家族でお越しください!
特別展公式サイト
イベント名 | 特別展「房総うみの幸 大百科 ―千葉の豊かな海と食文化―」 |
日程 | 2025年7月12日(土)~ 9月23日(火・祝) |
場所 | 千葉県立中央博物館(千葉県千葉市中央区青葉町955-2) 第1企画展示室、第2企画展示室 |
主催 | 千葉県立中央博物館 |
協力 | アリオ蘇我、そごう千葉店、京葉銀行、千葉銀行、千葉興業銀行、千葉市加曽利貝塚博物館 |